バーチャルネット法律娘　真紀奈17歳
（過去ログ）

☆ RIAAの「容疑者」身元開示要求、司法省が「合憲」判断　（ZDNET）

　ユーザがP2Pサービスを使用して著作権の侵害をしていると思われるときに、RIAAのような権利者団体が、プロバイダに対して身元のデータを求めることが可能かどうかということに対する判断が出た模様です。
　結論としては、レコードレーベルがユーザの身元のデータを得ることは合憲とのこと。

　ある意味当然といえば当然の判決です。権利者としては侵害者を特定したいわけで、そのためにはプロバイダの持っているログとデータが必要になります。ログを使ってある程度特定できているのであれば、データの公開を求めて、それが認められるのも当然ではないかと。
　そのユーザは現行法下では著作権の侵害を行っていて、訴えられる理由があるわけですから。全くデータの開示を認めないとするのであれば、レコードレーベルはどこに対して侵害を問えばいいのかということになりますからね。それこそISPが訴えられることになりかねず、そっちの方が問題です。

　さて、これの一番の問題点は、簡単に開示されるようになったら困るということです。裁判官等が見てある程度明白に侵害が確認できるだけの証拠は必要として欲しいですね。そのくらいはしないと、プライバシーの権利等とのバランスがとれませんし……。

　日本ではプロバイダ責任制限法でプロバイダに開示を求めることができるようになっています。問題点等もありまして、この点については、白田先生の註釈か4月1日の魔術師さんの文章が役に立ちます。


☆ BBCのWar Guidelines （PDF版）

　今回の戦争報道、CNNなどをみていると偏向報道が行われているのがよくわかったのですけど、イギリスのBBCではそのような偏向報道を避けるためのガイドラインを用意していたそうです。
　例えば英国の軍隊に対して「自軍」と呼ばずに「英軍」と表現したり、情報を述べる場合にはソースをきちんと述べるなどといったことですけど、それはジャーナリストとして重要なことなのではないかな、と感じました。まあ、BBCを見る環境がないので、実際にどういう報道が行われていたのかはわからないんですけどね。
　朝日新聞（4月19日朝刊）が言うには、公正な報道だったとのことでしたけど……。


☆ 「著作権とIT社会は適合しない」独マルチメディア団体が声明　(INTERNET Watch)

　タイトルを見たときには「その通り」と思ったのですけど内容は真紀奈の考えと全く逆です（笑）
　ドイツの方々はもっと著作権をがちがちにして、デジタル環境下では一切複製を認めないようにしようと考えているようですね。下手にコピーを許すとコピーが広がる一方であるということで。
　これは、私的な複製を一切認めないようにする方向ということでしょう。フェアユースの範囲をさらに狭める方向に進みつつあるようです。

　真紀奈もデジタル時代に現行の著作権はあわないと思っています。パッケージ商品を相手にしてそもそも著作権法は作られているのに、現在では、データそのものが流通する時代ですから。色々と不都合な点が出るのは当然で、できればデジタル著作物と既存の著作物とをわけて考える方向に向かった方がいいでしょう。
　問題はその向かう方向なんですけど……インターネットはそもそもcopyで成り立っていますよね。Webサイトをブラウズするのも、メールの転送も、全てがコピーによって行われています。コピーを規制するという時点で、ネットを否定しているような物です。コピーを不可能な状況にしたコンテンツについては、そのプロテクトを解くことを禁止し、そういうのがないものはコピーを自由にしてしまっていいような気がします。その際に、営利目的の場合は禁止としたり、氏名表示は必須などとすればいいのではないかと。

　新しい著作権の形。何らかの形で文章化したいものです……。

☆ 会社の上告棄却 発明の元社員へ２２９万円 最高裁　（毎日新聞）

　判決文：平成15年04月22日 第三小法廷判決 平成13年（受）第1256号 補償金請求事件

　職務発明についての話ですね。職務発明については前に書いてますのでこちらを見て下さい。
　今回の件については、価格についてはともかく、内容的には妥当な判決じゃないかと思います。特許法では会社は“相当の対価”を支払うということになっているわけですし、相当の対価以下の報酬制度しか備えていないことを条件にそれを無視できるというのはちょっと。
　問題は価格なんですけどね。誰がその価格を算定するのか、そしてその価格の内どれだけが発明者の取り分だとするのかという問題があります。素晴らしい発明であれば必ず儲けられるのかというとそういうわけではありませんし、実際には色々な要因でもって利益が上がるわけですから。

　知的財産の価値については、その算定をどうするかということについて研究会が発足されていますけど、そう簡単にいくとも思えません……。
　Intellectual Property（IP）と言えば、昨日の講演でストールマン氏が「IPという言葉を使うな」と言っていたとか。


☆ 6/4 ： セキュアかつ匿名なP2Pトンネリングシステム　（Slashdot）

　6/4（シックス・フォーと読むみたいです）というAnonymizerのような、匿名性を保護してくれるシステムがリリースされています。しかも暗号輸出規制を乗り越えてソースも公開されています。
　とりあえずDLページに行ってみて、笑いました（笑）
　アメリカがテロ国家と指定している国からDLできないというのはともかくとして、愛国者でないとDLできないそうです。そして、その愛国者の定義が素晴らしいです。

　もちろん愛国者にチェックを入れてDLしました。でも、アメリカを愛しているわけではないのでちょっと微妙。まあ、OFACリストに載っていなければOKらしいですけど。

　うーん、使ってみようと思ったんですけど、どうもよくわからないです（苦笑） Winは2000じゃないと駄目なのでしょうか？どうもこういうアプリはよくわからないです。DLLをコピーして、どうすればいいんでしょう……。bin/win32なんてないんですけど。

　誰かがマニュアルつくってくれるまで待ちっぽいです（苦笑）

　6/4という名前は、天安門事件の起きた6月4日からとっているそうです。
　言論の自由を守るためのツールとしての意味を持たせているみたいですね。これはかなり強力なツールとして働くことになるかもしれません。検閲等のある国ではとても有用なツールとなりうるでしょう。
　……そして、Winnyよりも有用かつ強力なファイル交換サービスが作られるかもしれませんね。これはソースがオープンになっている分、暗号性能等についてWinnyよりも信頼がもたれる可能性があります。spywareがないということを検証可能ですし。

　その結果については……ちょっと考えておかないといけないようです。
　あんまり暇がないので、まとめて書こうにも書けない状況なんですけどね（苦笑）
　雑誌等の原稿として頼んでいただけたら、無理してでも書く or お兄ちゃんに書かせるのですけど（笑）
　といっても、まず真紀奈がこのツール動かしてみることが必要かな？ Winnyがバージョン2になることでもあるし、どっちで書いてもいいような気もしますけど。（まあ、まずは他のやることやらないと）

☆ プロバイダー法：発信者の身元情報開示請求で原告敗訴　（chocoさんより毎日新聞）

　月末くらいまで更新をさぼりお休みしようかと思っていた矢先に判決が（苦笑）

　判決全文が手に入っていないので、詳しめに書かれている毎日新聞の記事と朝日新聞の記事を参考にしてみます。以下の文章については真紀奈が記事から読み取った感じで判断しているので、実際の判決内容とは違う可能性があることに注意しておいて下さい。
　名誉毀損をした人（Ａ）、Ａの加入しているプロバイダ（Ａ’）、名誉を毀損された人（Ｂ）、Ａが開設したサイトの管理者（Ｃ）がいて、まず、ＢはＣに対してＡのサイトの書き込みの削除と、Ａの情報を求めています。
　ＣはＡの書き込みの削除とＡの情報をＢへ提出することを行ったのですが、この際、ＣはＡの情報についてメールアドレスしか取得していませんでした。そのため、Ａの個人情報についてはＡのプロバイダであるＡ’しか把握していないことがわかります。
　そこで、ＢはＡ’に対してＡの個人情報の開示を求め、Ａ’が拒否したため訴訟になりました。

　この判決においては、Ａ’はプロバイダ責任制限法で定めているプロバイダに当たらないから、開示請求の対象にならないとされています。
　どういうことかというと、プロバイダ責任制限法（註釈）では、プロバイダは「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信の用に供される電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他（不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信の用に供される）電気通信設備を他人の通信の用に供する者をいう」とされています。
　つまり、プロバイダというものを不特定の者が通信を受信するような設備を提供している者に限っちゃったんですね。具体的には、Webサイトや掲示板等を管理しているプロバイダ・個人に限ってしまい、それ以外の人にはプロバイダ責任制限法を適用しないとしたわけです。

　結果として、プロバイダが通信の秘密を盾に個人情報を守ってくれるところであれば、そのプロバイダと関係ない無料サイト等に匿名でアカウントを作って名誉毀損行為等を行っても、名誉毀損行為をした人にまで訴訟等が及んでくることがないということになっているようです。

　……まあ、刑事事件になって、令状とって差し押さえというようになれば別なんでしょうけど（刑訴はあんまりしらないので詳しくはわかりませんけど）。ただ、こういうのはかなり明白な名誉毀損行為等じゃないと、認められないんじゃないかな、と思います。

　法律が骨抜きにされてしまったというわけですね。これは……どう評価すればいいんでしょうね（苦笑） 個人情報がむやみに公開されることが無くなったという意味では、よいことなのかもしれませんけど。
　真紀奈はこういうときは当事者同士でとことんまで争っては？と思ったりもするんですけどね。


　ちなみに、先月末にヤフーに対してログの開示を行うよう判示した判決（H15. 3.31 東京地方裁判所 平成14年(ワ)第11665号 損害賠償等請求）が出ていますけど、こちらは、掲示板の管理者が個人情報を持っていたケースですので、これは開示されるのが、まあ、普通の解釈でしょう。
　今回の判決と矛盾するということは無いと思います。
　これはこれでここまでの情報の開示を求めていいのかどうかで争いはあるんでしょうけど…。


☆ R・ストールマン講演「ソフトウェア特許は技術の進歩を阻む悪」　（INTERNET Watch）

　ストールマン氏の講演に関する記事です。
　ソフトウェア特許に対して否定的な見解を出しているようです。そういえば、真紀奈はストールマン氏の著書とかって読んだこと無いです……。FREE AS IN FREEDOMくらい読んでおいた方がいいかもしれませんね。今度邦訳が出るそうなので、でたら買おうかな……。
　（そしてまた積み本が増えていく……）


☆ キツネ型政治家とライオン型政治家　（詩子さん経由毎日新聞）

　ちょっと気になったので調べてみたり。
　これについては、パレートの「社会学大綱」で言及されていました。ただAmazonさん、パレートのパの字も無いのはどうかと思います。パレートの翻訳本なんですから、原著者の名前を入れるのは当然じゃないかと思うんですけど……。
　ちなみに、この「社会学大綱（＝一般社会学概論）（Trattato di sociologia generale）」はものすごく長いものらしく、真紀奈が見てみたのはそのうち最後の2章である、12章と13章だけを翻訳したものです。それでも十分長いですけど。

　ちなみに、ざっとみた感想。「読みにくい」の一言に尽きます（苦笑） 結局、ざっと通して読むのもあきらめて、狐に言及している部分だけ読んでみました。たった２ヶ所でしか言及されていませんでしたけど。

　多分、当時の社会状況（19世紀末〜20世紀初）も関係していたと思うのですけど、市民（被支配階級？）が暴力を持って支配階級に対して挑戦してきたときに、支配階級はどう行動するかということについてでこう言及されているようです。なんていうか、全部読めばわかるのかもしれませんけど、一部しか読んでないので何とも……。 しかも（確認した限り）翻訳されていない1〜11章の間に詳しく書いてあったかもしれませんしね（苦笑） 原書はイタリア語とフランス語のようですので、さすがに読もうにもちょっと（汗）
　積んでおいて、時間があいたら読んでみようかと思っています。言っていることは面白そうなので。まあ、この本については目を通した後に、最高のパレート論の一つを著したというジュリアン・フロント教授と同じ感想を抱きそうですけど（笑）

　章立て等が整理されていればもっと読みやすいはずなんですけどね……。なんでこんな適当な感じになっているんでしょう。それとも真紀奈がこの構成の真の意味に気づいていないだけ？



　さて、また数日更新停止状態or記事紹介のみになります……。
　掲示板で色々と言及して下さっている方、とりあげられなくてすみません。できる限り近い内にとりあげるなり掲示板で答えるなりしたいと思います……。
　また、メールを下さっている方、全然返信ができていなくてすみません。ありがたく読ませていただいているのですが、返信する余裕がちょっと無いのです……。

☆ いろいろ

　真紀奈的にはとても面白かったことですけど、公開はできない。けれどテキストにはまとめておきたいということが色々……。
　ついでに、横に積まれている本の山が……だんだん高く……。
　レポートを書くくらいの時間が生まれるのはかなり先になりそうです（涙）

　さて、更新停止状態にするつもりでしたけど、ニュースは色々と出てくるため、真紀奈のメモのためにも、ニュースだけは紹介していこうと思います。あまり細かい解説をつける時間は……とてもあるとはいえないのですけど。
　あと、リファラもきちんと見てないに等しい状態になってしまっています。ニュース性のあるサイトにしか行っていない状態が続いていますし……。 メールの方はみているのですけど、返信はほとんど無理な状態です。
　ネタ・ニュース等の紹介はありがたいことだと常々思っていますので、返信があるかどうかすらわからないという状態でもいいよ、という人がいたらよろしくお願いします。本当に助かりますので。ただ、紹介していただいたネタを全て取り上げると言うことも無理です（苦笑）
　あ、さすがにspamとウイルスはいりませんので……。


☆ 「ファイル交換サービスは合法」の判決　（藤八さん経由ZDNET）

　ファイル交換ソフトのMorpheusについての裁判の判決です。
　今回のMorpheusはピュアP2Pタイプであったため、ネットワーク内での交換に管理会社が積極的に関与しているというわけではないということ、そして、合法・違法の双方の目的に使われているという意味では、1984年に起きたソニーのベータマックス訴訟（ビデオデッキが適法であると判断した最高裁判決）と変わらないということから、管理会社は責任を負わないとされました。

　ピュアP2P型ファイル交換サービス自体の存在は合法とされました、が、もちろんのことながらそのP2Pサービスを利用して著作権者に許諾を得ずに著作権のあるファイルを共有状態に置けば、それは違法です。
　「ファイル交換サービスは合法」と書くと、そういう行為も合法であると思いこむ人が出そうなのが、問題といえば問題かな……。あくまでも責任を負わないとされたのは、サービスの提供会社ですので。

　また、この結果を見る限りでは、やはりハイブリッド型（中央サーバによる管理型）のファイル交換サービスは違法のままとするようですね。


☆ Verizonに迫る違法ファイル交換容疑者の身元提示義務　（ZDNET）

　１月に出たこの事件の続きですね。
　自分のプロバイダの会員がP2Pソフトを使用してファイルを交換していたということで、その交換していると思われる人の個人情報を提出するように、という判決が下っていたものです。

　さて、日本でこれをやったらどうなるでしょう。24日にでた判決では開示不許可となっていましたけれど、このケースの場合は、Yahooのケース（判決文とのちょうど中間のように思われます。
　この場合、プロバイダ責任法でいう「プロバイダ」というのが微妙だからです。データを公開しているスペースはユーザの管理下にあるわけですけど、公開するための回線等はISPが保持していることになります。24日の判決では、ISPと掲示板の間の通信は１対１であったことから否定されたようなものなのですが、このケースだと１対１ではないですよね。
　うーん。それこそ、ファイルローグ訴訟で行われた「ユーザとISPとを一体として発信者とみなす」という解釈が適用されそうな気がします。

　真紀奈としては、きちんとログ等からその人が侵害を行っていることがわかっているのであれば、公開していいのではないかと思っています。 侵害したかどうか不明確な状態では、あまり公開してはいけないように思いますけどね。

　そうそう。著作権法では著作権者に無許諾で著作権のあるファイルを勝手に共有することは違法なことであるのは確かです。著作権法が間違っている、と叫ぶのは勝手ですが、法律は厳然としてそこにあるわけで、真紀奈達はそれに違反すれば罰せられます。
　真紀奈達がやるべきことは、法律が間違っているんだというのを建前にして違反行為を続けることではなくて、どうしてその法律が間違っているのか等を理論立てて述べて法律を改正するべく主張することや、もしくはレッシグ教授が行っているような、著作権を緩和した市場を作り上げることなどではないかと思います。
　大変な話ではあるのですけど……。